2014年3月5日水曜日

大衆は大衆が大嫌い

死と身体―コミュニケーションの磁場 (シリーズ ケアをひらく)
内田 樹
医学書院
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内田樹が大好きです。
共著や対談も合わせたら70冊くらい読んでます。
自分でも引きますね。。。

たぶんあと10冊くらいで網羅できそうな勢いですが、
1年に5冊くらい出てるので(引きますね)、
作者とのイタチごっこに勤しんでおります。

こんなに読んでいる人は他にいなくて、
なんでかなぁと考えてみたのですが、
端的に読んでいて気持ちがいい。
文章のリズムの取り方と論理の運び方がめちゃくちゃ上手いんですね。

だから、
かなり専門的な用語が多用されているけれど、
身体をねじ込むように読んでいくうちにいつのまにか理解できてしまう。
なんだか自分がものすごく頭が良くなったような気になれる(錯覚ですが)。
そんな風に知的興奮をすごく味わえる作家です。
前回の自分の記事を読んで、
そのヘッポコさに悶絶グルーヴィーだったわたしとしては羨ましい限りです。


といったところで本の内容に入りますが、
一番気になったのは「ニーチェ主義的大衆社会」の部分。

ニーチェの超人思想というのは、
誤解を恐れず簡潔に言えば、
"自分よりも劣等なものを憎み、軽蔑することを自分自身の気高さの支えにする"ことで、
自分自身を高めていくというものです。

ニーチェがいた時代には、
こんなことを考えているのが彼しかいなかったので、
痛烈な文明批評になりえたのですけれど、
時代が下るにつれて「俺もニーチェの気持ちがわかる」という人が増えて、
みんながみんなを軽蔑するような「ニーチェ主義的大衆社会」になった。
と、著者は書いています。

これを読んでわたしの頭に真っ先に浮かんだのは「リーガル・ハイ2」でした。
内容をウィキペディアから引用するとこんな感じです。
"訴訟で一度も負けたことがない敏腕弁護士・古美門研介(こみかど けんすけ)と真面目で正義感の強い新米弁護士・黛真知子(まゆずみ まちこ)の2人が繰り広げるコメディタッチの弁護士ドラマ。"
古美門さんはとにかく大衆が嫌い。
特に最終回では大衆がいかに愚鈍であるかをのべつ語ります。

ドラマは大変好評だったようなのですが、
なんだか変じゃないですか。

最終的には「愚かな大衆を愛せ」
といった美辞麗句で締めくくられていましたが、
これは明らかに「馬鹿な視聴者が好きです」という
製作者側のメッセージが感じられます。

ドラマの中で語られる「大衆」とは、
云わば「視聴者」のことであるはずなのに、
「ふざけんな」とか「視聴者を馬鹿にしている」
といった文句も寡聞にして知りません(あるかもしれませんけれど)。

つまり、
このドラマを見ていた人は、
古美門と一緒に大衆を馬鹿にし溜飲を下げていて、
自分を「大衆」だと思っていないということなんだと思います。

「ニーチェ主義的大衆社会」ここに極まれり。

こんなこと書いているわたしも、
大衆を馬鹿にしていることに変わりはないのかもわかりません。

ですが、
自身が大衆の一員であること。
これは(自省も兼ねて)ゆめゆめ忘れてはいけませんし、
なによりガッキーの可愛さをゆめゆめ忘れてはいけないのです。


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2 件のコメント:

  1. リーガルハイ、結構面白かったよ(小声)。

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  2. なんだかんだ言って全話楽しく拝見しました。

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